◆勤務間インターバルの導入に助成金の活用
多くの企業で人手不足や人材の定着率の低下が大きな課題となっています。
その背景には、十分な休息が取れない働き方があり、疲労から来る生産性の低下や離職につながっています。
この解決策のひとつが「勤務間インターバル制度」です。
勤務間インターバル制度とは、勤務終了から次の勤務開始までに一定時間以上(例:11時間以上)の休息を確保する仕組みです。
職員の疲労を防ぎ、離職防止や働きやすい職場づくりにつながります。
制度導入にあたっては、最大120万円の助成金を活用できるため、事業所の負担を軽減しながら取り組めます。
その助成金が
「働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)」です。
この助成金は、勤怠管理ソフトの導入や労働能率を高める設備投資など「支給対象となる取組み」を行い、事業場の半数以上の方に対して勤務間インターバルを9時間以上にする取組みを行ったときに、「支給対象となる取組み」の費用の一部が助成される制度です。
助成率は最大4/5、上限額は50万〜120万円。
さらに賃金引上げを成果目標に加えた場合、上限額が加算されます。
<働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)の概要>
〇対象
・一定の条件を満たす中小企業事業主です。
(一定の要件)
(1)労働者災害補償保険の適用事業主であること
(2)次のアからウのいずれかに該当する事業場を有する事業主であること
ア 勤務間インターバルを導入していない事業場
イ 既に休息時間数が9時間以上の勤務間インターバルを導入している事業場であって、対象となる労働者が
当該事業場に所属する労働者の半数以下である事業場
ウ 既に休息時間数が9時間未満の勤務間インターバルを導入している事業場
(3)全ての対象事業場において、交付申請時点及び支給申請時点で、36協定が締結・届出されていること。
(4)全ての対象事業場において、原則として、過去2年間に月45時間を超える時間外労働の実態があること。
(5)全ての対象事業場において、交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備していること。
(中小企業事業主)
・小売業(飲食店を含む) 資本または出資額5,000万円以下または常時使用する労働者50人以下
・サービス業 資本または出資額5,000万円以下または常時使用する労働者100人以下
・卸売業 資本または出資額1億円以下または常時使用する労働者100人以下
・その他の業種 資本または出資額3億円以下または常時使用する労働者300人以下
〇支給対象となる取組み(例)
・労働者に対する研修、周知・啓発
・人材確保に向けた取組
・労務管理用ソフトウェアの導入・更新
・労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新
などの取組みを行い、成果目標(例:9時間以上の勤務間インターバルの導入)を達成した場合に助成されます。
※原則としてパソコン、タブレット、スマートフォンは対象となりません。
支給対象となる取組みは、成果目標の達成を目指して実施します。
<成果目標>
事業主が事業実施計画において指定したすべての事業場において、休息時間数が「9時間以上11時間未満」または「11時間以上」の勤務間インターバルを導入し、定着を図ること。
〇助成率:3/4
常時使用する労働者数が30人以下かつ、「支給対象となる取組」で、「労務管理用ソフトウェア、労務管理用機器、デジタル式運行記録計の導入・更新、労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新を実施する場合で、その所要額が30万円を超える場合」の補助率は4/5となります。
〇上限額:50〜120万円
賃金額の引上げを成果目標に加えた場合は、指定した労働者の賃金引上げ数の合計に応じて、さらに上限額の加算があります。
※新規に勤務間インターバルを導入し、最も短い休息時間を11時間以上とする場合、助成の上限額が120万円になります。
〇令和7年度の申請期限:令和7年11月28日(木)
〇事業実施期間:令和8年1月30日(金)まで
※ここでは、働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)の概要を掲載しています。申請にあたっては、必ず最新の正しい情報および詳細を厚生労働省のホームページ等でご確認ください。
※令和7年10月時点の情報に基づき作成しています。
助成金を活用できる設備投資の例
〇労務管理ソフト
シフト編成に労務管理ソフトを導入し、勤務間インターバルを導入。従業員の休息が確保され、心身の負担が軽減されると共にサービスの質・顧客満足度が向上しました。
〇飲食店におけるスチームコンベクションオーブンの導入
ガスコンロで料理していたことから、料理の仕込みや調理に時間を要しており、業務が後ろ倒しになって休憩がとりづらい状況でした。そこで、スチームコンベクションオーブンを購入し、勤務間インターバルを導入しました。結果的に、1回あたりに調理できる量が増えたこと、料理を提供するまでの時間の見通しが立ちやすくなったことで、仕込みや調理の時間を短縮することができ、休憩時間も1時間増やすことができました。
その他、「労働能率の増進に資する設備・機器等」として、小売業のPOS装置、自動車修理業の自動車リフト、運送業の洗車機などの機器や設備などを導入して従業員の負担を軽減し、インターバル確保につなげる方法も考えられます。
専門家に委託するメリット
本助成金申請は、要件に沿った規定づくりや必要書類の準備など、労務に関する専門的な知識がないと、結果的に多くの時間と労力を割かれることになります。
また、審査段階で労働局からの問い合わせや追加資料の提出依頼があることも珍しくありません。社労士に依頼すれば、こうした労務に関する専門的なやりとりも代行し、行政対応の負担を大幅に減らせます。
さらに、制度や要件は毎年度改正されます。専門家は最新の情報に基づいた申請ができるほか、本助成金に限らず、今後の職場環境改善や他の助成金活用にもつながる投資計画を一緒に立てられるのも大きな利点です。
岡崎リズムワークスでは、投資計画の検討や制度の導入から助成金の申請代行まで一貫して支援しています。
ご関心のある方は、ぜひ、お気軽にご相談ください。
勤務間インターバルを活用し、従業員の健康や貴社の生産性向上・離職防止につなげていきましょう。
-3.png)
